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【ポータルベンダーが解説】カスタマーポータルにローコードが必要な理由

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デジタルファーストの今日では、顧客は、コンテンツへの迅速なアクセスとシームレスな使いやすさに慣れているため、疑問点や課題に対し、セルフサービス自動化などによる素早い対応や解決を求めています

カスタマーエンゲージメントと満足度を大幅に向上させるローコードの役割とは

デジタルファーストの今日では、顧客は、コンテンツへの迅速なアクセスとシームレスな使いやすさに慣れているため、疑問点や課題に対し、セルフサービス自動化などによる素早い対応や解決を求めています。また、他にはないサポートを提供する企業を選ぶ傾向にあるため、優れたカスタマーサービスは重要な差別化要因となります。

そのため、企業がカスタマーポータルに期待するのは、サービスチームの負担を軽減するだけでなく、開発を進め、常に変化する顧客ニーズに対応できることです。カスタマーポータルには、有益な顧客インサイトを収集し、それに応じてエクスペリエンスを改良しやすくする順応性が必要です。カスタマーサービスやサポートの俊敏性と革新性を高めたければ、技術的な課題を許容することはできません。

ここで、有用なのがローコードです。ガートナー社では2025年までに「企業が開発する新規アプリケーションのうち70%はローコード/ノーコードによるものだろう(2020年は25%未満)」と予測しています。さらに、経営幹部の26%が、自動化において最も重要な投資先の1つがローコードだと考えています(2020年以降、10%から増加)。

上記の調査結果に加えて、競争力を維持するには効率性、スピード、柔軟性が重要であることを考えると、カスタマーポータルの計画上、ローコード機能を検討することは、単なるトレンドではなく戦略的に不可欠となります。

本ブログでは、ローコード機能を備えたカスタマーポータルソリューションの検討が重要な理由について掘り下げ、ローコードを使用することでデジタルエクスペリエンスを効率的に提供する方法やカスタマーエンゲージメントや満足度の改善方法についてもご紹介します。

ローコード/ノーコード機能を利用すべき理由


ローコード機能にはさまざまなメリットがあるため、カスタマーポータル、サプライヤーポータル、社内ポータルなど幅広い分野に活用できます。例えば、以下のようなケースで特にその真価を発揮します。

 

短期間での立ち上げ

緊急の課題に対応する必要がある場合、ローコード機能を使うことで、これまでのコーディング手法よりも早く開発できるとこが多々あります。451 Research社の推定では、ローコードはコーディング言語と比べ、開発時間を50~90%も削減できるとされています。

開発の民主化: 「シチズンディベロッパー」の活用
ローコードを使えば、高度なIT知識を持たない部門やチームでもそれぞれのニーズを自分たちで解決に貢献するため、ITチームへの依存を軽減することができます。直感的なツールとドラッグアンドドロップ機能を備えることで、コーディング知識がほとんどない「シチズンディベロッパー」でもデジタルソリューションを構築、カスタマイズできるようになります。

プロセスの自動化
効率化に重要なことは、繰り返しの作業を自動化する方法を見つけることです。この点、ローコードツールがあれば、IT知識がほとんどないユーザーでも作業や業務の効率を改善する自動化ツールを構築、デプロイできます。

プロトタイプとPoCの構築
ローコードはまた、プロトタイプやPoC(概念実証)を短期間で構築する方法としても活用できます。これを行うことで、本格的な開発にリソースを投入する前に、仮説の検証、フィードバックの収集、デザインのイテレーションなどを行えます。

ローコードでカスタマーポータルの品質と効率を向上させる3つの方法


ローコード機能を戦略的に実装できれば、貴社だけでなく顧客にも大きなメリットをもたらし、有益な機能を備えられます。ここでは、中でもカスタマーポータルを取り上げ、主な4つのユースケースについて詳しく見ていきます。

1.ワークフローの自動化

顧客対応の業務にかかる時間の短縮や顧客とのやり取りの効率化を目指しているのであれば、ローコードが欠かせません。ローコード対応のカスタマーポータルでは、視覚的にわかりやすいワークフロー自動化ツールを備えており、時間のかかる作業を削減するだけでなく、カスタマーサービスやサポートのプロセスにかかる時間も短縮できます。
例えば、直感的なグラフィカル・ユーザー・インターフェース(GUI)により、ドラッグアンドドロップで簡単に以下のようなワークフローを構築できます。

  • サービスチケットのルーティングと解決をスムーズに
    サービスチケットが新規に作成されると、自動化されたワークフローにより、対応するのに適切な担当者やチームにチケットが転送されます。その他、ワークフローを設定し、サービス品質維持のため、一定期間後に未解決チケットを自動的にエスカレートするようにもできます。
  • 注文管理を簡素化
    注文状況を監視するワークフローを構築し、メールやSNSにより最新の状況をリアルタイムで顧客が確認できるようにします。 出荷、配送、遅延の可能性についても通知することで、顧客は常に最新情報を把握できるため、結果的に問い合わせ数も削減します。また、注文の変更や返品のリクエストなどの操作も直接ポータルで行えるようなワークフローも構築できます。
  • サービスレベルアグリーメントを定義
    特定のワークフローのイベントを完了するまでの時間を測定し、サービスレベルアグリーメントを定義します。この方法により、どの程度効果的に顧客の期待に応えられているかといった貴重なインサイトを得られるだけでなく、改善すべき点も見えてきます。

2.データ管理

優れたカスタマーエクスペリエンスを支えているのは、堅牢性に優れたデータ管理です。しかし、ポータル内で適切に顧客データを管理、活用する包括的なアーキテクチャを構築するのは、複雑で時間もかかる作業です。
その点、ローコード機能を備えたカスタマーポータルであれば、使いやすいドラッグアンドドロップインターフェースで、業務に不可欠なコアデータオブジェクトを定義し、その関係を明確にできます。そのため、顧客関連のデータを正確に整理、管理できるようになります。

  • リレーションマッピング
    直感的なGUIによりデータオブジェクト間の関係をスムーズに視覚化し、確立します。顧客、サービスチケット、商品、注文、返品などを表すアイコンをドラッグアンドドロップするだけで、担当者は、これまで使用していたテキストベースの構成よりはるかに直感的にデータモデルを理解、定義、拡張しやすくなります。具体的には、顧客と関連する注文やサービスチケットを連携し貴社とのやり取りを詳細に把握すること、また、商品とそれに関連する注文を紐づけ、リアルタイムでの在庫や販売実績などを追跡することなども可能です。
  • データ統合
    Headless APIを活用し、他のバックエンドシステム(CRMシステム、支払ゲートウェイ、物流プロバイダーのようなサードパーティーサービス)から定義済みオブジェクトへデータを統合します。これにより、確実に包括的なデータにアクセスできるだけでなく、ポータルのエコシステム全体で情報フローを同期することができます。
  • メタデータの充実化
    定義済みオブジェクト内にさらにメタデータを追加することで、データの深度を高めます。例えば、カスタマーポータルのコンテキストでは、各商品オブジェクトに「商品のカテゴリー」や「発売日」、「お客様レビュー」 などのフィールドを含めることができます。このようにメタデータを強化することで、フィルタリング、ソート、レポートの各機能が向上し、顧客の好みや市場傾向を把握しやすくなるため、さらにきめ細かい分析が可能になります。

3.コンテンツの作成、パーソナライゼーション、ブランディング

現在のソリューションで、貴社のブランドを反映したユニークかつパーソナライズされたエクスペリエンスを提供できていない場合、ローコードをご検討ください。ローコード機能は、サイト構築やパーソナライゼーションなど、ある側面からサポートし、カスタマーポータルを構築する際、下記のようなタスクを簡単に実行できるようになります。

  • ブランディングとデザインの管理
    ローコードベースのテーマビルダーツールにより、サイト全体の色、フォント、レイアウトをカスタマイズできる他、ブランドアイデンティティとの整合性を確保できます。
  • Webエクスペリエンスの構築、更新、パーソナライゼーション
    ドラッグアンドドロップページビルダーツールでは、新規ページの構築、既存Webコンテンツの更新、コンテンツの表示方法やデータのソート方法の管理などが可能です。また、ページレイアウトをのカスタマイズやコンテンツブロックの配置により、ユーザーエクスペリエンスや情報階層を最適化することができます。さらに、テキスト、ボタン、アニメーションやその他グラフィック要素を簡単に追加でき、さまざまなユーザーセグメント向けにパーソナライズしたエクスペリエンスを構成しやすくします。
  • セルフサービス機能による強化とエンゲージメントの向上
    ローコードツールでコミュニティフォーラムを構築すると、ユーザー同士でのディスカッションやエクスペリエンスの共有だけでなく、質問なども行えるようになります。さらに、検索可能なナレッジベースを構築することで、よくある質問に回答でき、ユーザーがさらに質問を投稿したり、改善を提案したりできます。テキスト、画像、埋め込み動画などを使い、手順に沿った商品ガイドを実装することもできます。
  • モバイルレスポンシブ対応
    サイトやページを作成する場合もローコードベースのページビルダーが、レスポンシブデザインに対応し、カスタマーポータルがデバイスを問わず、完璧に表示され、機能するようにします。

ローコードによるカスタマーポータルの強化はどのような効果をもたらすのか


上記のユースケースから、ローコード機能を活用すれば、ITチームに頼ることなく、非技術者チームでもカスタマーポータルを短時間で大幅に改善できることが明らかになりました。結果的に、これもより優れたカスタマーエクスペリエンスの提供へとつながります。カスタマーポータルにローコード機能を実装することで、目先の利益だけにとらわれず、企業全体に価値をもたらす、以下のような長期的な成果を上げる基盤を築くことができます。

  • 市場投入までの時間を短縮
    ローコードにより、新規ソリューションのプロトタイプ作成、テスト、デプロイを短期間で実行できるため、市場投入までの時間が大幅に短縮されるだけでなく、イテレーションや開発サイクルをより一層加速させます。ローコード機能では、必ずしも最初からポータル全体を構築できるわけではありませんが、UIデザイン、ワークフロー自動化、データ管理などのタスクを合理化することで、開発プロセスにかかる時間を短縮します。つまり、少ない時間でも視覚に訴える、機能性の高いカスタマーポータルを構築できるということです。
    *451 Research社によれば、開発時間を50~90%まで短縮する可能性があるという調査結果があります。
  • 俊敏性と適応性を高める
    ローコードの機能により、日々変化するビジネスニーズやユーザーの好みに合わせてカスタマーポータルを継続的に適応、進化させていくことができます。この俊敏性により、市場動向や顧客からのフィードバックにすばやく対応できるだけでなく、テストやイテレーションも素早く行い、将来的にも有効なポータルを実現します。
  • ユーザーエクスペリエンスを改善
    ローコード機能を備えたカスタマーポータルでは、社内チームおよびエンドユーザー両者を考慮した上で設計されているため、直感的でユーザーフレンドリーなインターフェースを実現します。これにより、エンゲージメントが高まるだけでなく、満足度の向上にもつながります。
  • コストを削減し、リソースを解放
    ローコード機能で、開発プロセスを合理化し、広範なコーディング知識の必要性を排除したことで、結果的に、コストを大幅に削減するだけでなく、リソースをより効果的に配分できるようになります。

カスタマーポータルにローコード対応のDXPが最適な理由


カスタマーポータルのプロジェクトを控えている場合、どのようなソリューションやプラットフォームが自分たちのニーズに最適かという疑問をお持ちかもしれません。

「純正の」ローコード・アプリケーション・プラットフォーム(LCAP)は、開発プロセスを効率化するだけでなく、課題を短時間で簡単に解決に導きますが、とりわけ、LCAPをデジタルエクスペリエンスプラットフォーム(DXP)による「最善の」アプローチと比較した場合、以下のような制約や欠点があるため、注意が必要です。

  • コア機能の不足
    LCAPを使えば、一般的なビジネスプロセスを簡単に自動化できる可能性がありますが、DXPの場合、より豊富なコア機能が標準機能として備わっています。例えば、コンテンツ管理システム(CMS)、デジタルアセット管理(DAM)、コマースなどの機能は、通常LCAPでは利用できないため、統合する必要があります。
  • 統合とカスタマイズ性LCAPの主なメリットは、技術者でないユーザーでもビジネスプロセスを自動化できる容易性と高速性です。とはいえ、LCAPでは、高度なカスタマイズや統合に関しては限界があります。修正や統合が複雑になればなるほど、コーディングの専門知識が必要になることが多く、LCAPの機能では対応できないこともよく発生します。対照的に、DXPのような構成可能なコードベースのソリューションの場合、より柔軟できめ細かなカスタマイズや統合を行えます。その理由のひとつは、多くのDXPでは、柔軟なコネクタやAPIを備えており、社内データベース、CRMシステム、その他の企業ソフトウェアとシームレスに統合することができるだけでなく、確実にデータを同期し、シームレスなユーザーエクスペリエンスを提供できるためです。
  • ベンダーロックインとデプロイオプション
    LCAPが目指すところは、企業全体のビジネスプロセスの自動化ですが、この点により、LCAPが独自のユーザーインターフェースに依存しているために、ベンダーロックインが発生することがあります。つまり、そのベンダー固有のツールやインターフェースを通じてでしかプラットフォームを設定、カスタマイズできないため、プロバイダーの乗り換えが難しく、将来にわたって選択肢を制限してしまうことになります。一方で、DXPの場合、オープンで拡張可能なアーキテクチャーにより、ベンダーロックインを軽減し、企業がデジタルソリューションをより細かに管理できるようにしています。
    さらに言えば、LCAPは通常SaaSのみであるため、特定のホスティング要件や規制上の制約がある企業にとっては、デプロイの柔軟性が制限されてしまいます。DXPでは、PaaSやSelf-Hostedのデプロイを提供するベンダーを選択できるため、多岐にわたる企業のニーズや好みに応えることができます。

デジタルへの期待が高まる中、DXPの包括的な機能、柔軟性、ローコード機能を一緒に使用することで、企業は俊敏性、拡張性、革新性を獲得することができます。

さいごに


ここまで、ローコード機能が、進化し続けるデジタルエコシステムにおいて企業を成功に導く起爆剤になっていることをお話してきました。これの理解をさらに深めるには、ローコードを、強力、効率的、汎用性が高いという元来のメリットを備えた高性能エンジンとして考えてみてください。カスタマーポータルを構築することは車にエンジンを搭載することに似ています。車(ポータル)は、速度(カスタマーエンゲージメント)の向上や低燃費(サポートコスト削減)など、さまざまな成果を実現できますが、これらはエンジン以外の要因に左右されます。また、車の全体的なデザインや機能は、最終的にその性能や影響を決定します。

カスタマーポータルプロジェクトを長期的に考える必要がある場合、カスタマーポータルがローコード機能を備えていることを必ず確認すべきです。ローコードを活用することで、ビジネスにおいて、開発スピードを上げるだけでなく、柔軟性やカスタマーポータルの全体的なユーザーエクスペリエンスも向上させることができます。さらに、ローコードでカスタマーポータル内の主要なビジネスプロセスをデジタル化かつ自動化することで、業務効率を高め、具体的なビジネス価値をもたらすことができます。

弊社のLiferay Digital Experience Platform(Liferay DXP)は、多くのローコード機能を備えているため、強力なローコード対応のカスタマーポータルを構築できます。これにより、自動化とインテリジェンスが強化され、より効率的に業務を遂行できます。また、データの収集と共有、レポートの生成と配布、問題やリクエストを追跡、処理するシステムの構築などを含む、弊社のローコードソリューションにより、ITサポートに頼ることなく業務を合理化することができます。
柔軟性に優れたLiferay DXPで、カスタマーポータルのビジネス要件に妥協することなく、想定通りの外観と機能を実現する強力なソリューションを構築しましょう。