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ポータルサイトとは?わかりやすく解説
ポータルサイトの定義や種類から、利用企業が増えているポータルのプラットフォームとしての活用メリットやその種類を、事例を交えてわかりやすく紹介します。
目次
ポータルサイトとは?
「ポータル」は元々「入り口」といった意味を持つ語であり、ポータルサイトは、さまざまなソースからの情報を単一のインターフェイスに集約して表示する、いわゆるリンク集のようなものです。
ポータルサイトにはネット上に散らばっている情報がまとめられているため、ユーザーはポータルサイトを通じて知りたい情報について簡単に理解を深めることができます。
ポータルサイトの最も大きな例は、総合型ポータルサイトのYahoo!JAPANです。Yahoo!JAPANには、ニュースやショッピング、ファイナンス情報などあらゆるコンテンツが集約されており、ユーザーはそれらの情報に容易にアクセスできるようになっています。
次に代表的なのが、専門型ポータルサイトです。専門型ポータルサイトとは、特定のジャンルに関する情報が集約されているサイトのことを指し、特定のニーズをもったユーザーの集客に効果的になっています。例としては、マイナビやリクナビなどの就活ポータルサイトや、SUUMOなどの不動産検索ポータルサイトがあります。
代表的なポータルサイトとその例:
- 総合型ポータルサイト(例:Yahoo!JAPAN)
- 専門型ポータルサイト(例:就活サイト、不動産ポータルサイト、婚活サイト)
- ビジネス型ポータルサイト(例:社内ポータル、取引先ポータル)
- 地域型ポータルサイト(例:観光地まとめサイト)
- コミュニティ型ポータルサイト(例:Yahoo!知恵袋)
- 検索型ポータルサイト(例:Google)
- プログ型ポータルサイト(例:Amebaブログ)
ポータルサイトは従来、単なるリンク集に過ぎず、様々なソースからの情報を集約・管理・配信する役割のみを担っていましたが、検索エンジンやSNSの急速な普及がその機能を置き換えていき、現在のポータルサイトでは優れたデジタルエクスペリエンスの提供が求められるようになってきました。
本記事では、ビジネスシーンでのポータルソリューションをはじめとして、ポータルの強みや活用メリットを紹介していきます。
ビジネス活用を目的としたポータルサイト
ポータルサイトの中でも企業がビジネスに活用することを目的としたポータルサイトには、企業従業員向けに情報を一元管理し、業務効率化を促進する社内ポータルや、取引先とのコミュニケーションを支援してパートナービジネスの質の向上を目指す取引先ポータル、また、会員サイトなど顧客向けのカスタマーポータルなどがあります。
ここでは、弊社のポータル製品『Liferay』を用いて構築されたビジネスへの活用を目的としたポータルを、次の種類別に紹介します。
- 社内ポータル
- 取引先ポータル
- カスタマーポータル
- 公開ウェブサイト
社内ポータル
企業内や組織内向けの社内ポータルには、社内報や掲示板、カレンダーなど、従業員の育成、業務効率化や従業員体験(EX)の向上、コミュニケーション促進を目的とした機能が備わっています。
しかしながら、特に大規模な組織においては、こういった機能をすでに他のツールで補っているケースが多く(例えばグーグルカレンダーやメール)、また部署や支社によって別々のツールを利用しているため、情報・ツールのサイロ化が起きてしまっています。
そのため、社内システム・ツールの統合を通じてサイロ化を解決しつつデータの一元管理を実現し、データやユーザーの属性に基いてパーソナライズされたサービス(ユーザーに関係のあるコンテンツのみを表示)を提供することで、最大限に従業員の業務効率を引き出すことのできる社内ポータルが注目を集めています。
【ソリューションページ】Liferayで構築する大企業向け社内ポータル
【ホワイトペーパー】4つの社内ポータル成熟度とは ホワイトペーパー
企業での活用事例
高級皮革製品メーカーのコーチ社は、DXの一環として『Coachweb』という社内ポータルをLiferayで構築しました。
『Coachweb』は、モバイルフレンドリーなデジタルワークプレイスを実現し、従業員とのコミュニケーションの強化に成功しました。また、これにより従業員の負担軽減が実現し、従業員満足度が向上しました。今後はより緊密なコラボレーションへ期待が寄せられています。
コーチ社の社内ポータル
【コーチ社 導入事例】大幅なコスト削減を実現したデジタルワークプレイス
行政機関での活用事例
社内ポータルは、必ずしも企業という場でのみ活用される訳ではありません。米国海軍Sea Warrior Programオフィスでは、60の人事アプリケーションを1つのポータル『My Navy Portal 』に置き換え、海軍のキャリア管理をワンストップで行えるようにしました。
『My Navy Portal 』では、ランクやユーザー設定によりダッシュボードや権限を自動的にパーソナライズし、87万ユーザーに人事情報や教育、トレーニングを提供しています。
米国海軍 My Navy Portal
【米国海軍 導入事例】ユーザー満足度を大幅に向上させたポータル
教育機関での活用事例
学生や教職員向けのポータルを学内ポータルといい、日本では大学でよく活用されており、学生は授業履修登録・確認やお知らせの閲覧などを行います。
名門校である名古屋大学は、同校の学内ポータルをLiferayで構築。それぞれの部局に閲覧権限付与の権限を与えることで、サイト管理者の負担が軽減。さらに、モバイル対応や個人・学部などの論理積によって通知配信を制御できるようになったため、利便性が向上しました。
名古屋大学 学内ポータル
【名古屋大学 導入事例】2万人以上の学生・教職員が利用する学生ポータル
取引先ポータル
取引先ポータルは、文字通り、販売代理店やサプライヤー、パートナーなどの企業の取引先がユーザーとなるポータルです(サプライヤーポータルやパートナーポータルなどと、企業によって呼び名は様々です)。
通常、取引先ポータルでは、製品・サービス資料や価格表など、取引先企業にとって役立つコンテンツを提供しており、見積りや発注もポータル上で行われる場合もあります。
多数のパートナーを持つ企業では、ポータルのパーソナライゼーション機能を使用することで、Tierなどのパートナーレベルに応じたサービス提供をできるようになり、場合によってはB2B2Cにも応用できるなど、ポータルは様々な機能を備えており、パートナービジネスの成功の鍵となります。
企業での活用事例
グローバルIT企業のヒューレット・パッカード・エンタープライズ社は、世界174カ国の計17万パートナー企業、65万ユーザー向けの取引先ポータルを構築しました。
このポータルでは、従来の7つのポータルを1つに統合しており、パートナービジネスに関する従業員負担の軽減を実現しています。また、新ポータル構築後、パートナー企業のポータル利用率が50%増加するなど、パートナーとのコミュニケーションが強化されました。パートナー企業のあらゆるニーズに迅速に対応可能となった取引先ポータルは、グローバルパートナービジネスにおける基盤として機能しています。
ヒューレット・パッカード・エンタープライズ(HPE)社の取引先ポータル
【ソリューションページ】Liferayで構築する大企業向け取引先ポータル
【HPE社 導入事例】174カ国の17万パートナー企業・65万ユーザーを管理する取引先ポータル
カスタマーポータル
カスタマーポータルは、企業が顧客ロイヤルティを育む上で非常に重要な役割を果たしており、例としてガス・電力や携帯キャリアのマイページ(お客様ページ)などがあります。
B2Cだけでなく、B2Bにおいても顧客中心のサービスが重要視されている現在、パーソナライゼーションはもちろんのこと、トラブル時の迅速な情報提供や、Web、メール、電話など異なるタッチポイントを跨いだシームレスな顧客対応が求められており、カスタマーポータルは優れたカスタマーエクスペリエンスを提供する上で必須のポータルといえるでしょう。
企業での活用事例
オーストラリアで3番目に大きい保険会社であるアリアンツ社は、300万人以上いる保険加入者向けのカスタマーポータルをLiferayで構築しました。
利用者はパーソナライズされたダッシュボードを持ち、保険プランの検索や注文、加入保険の確認、支払い、サポートへの連絡など、保険に関する全アクティビティを1つのポータル上で行えるようになるなど、シームレスなエクスペリエンスの提供を実現したため、顧客満足度の向上に成功しました。
アリアンツ社のカスタマーポータル
【ソリューションページ】Liferayで構築する大企業向けカスタマーポータル
【アリアンツ社 導入事例】300万人以上の保険加入者を支えるポータルサイト
公開ウェブサイト
一般的なWebサイトは、ポータルサイトとは異なりますが、ポータル製品の中にはCMS・DAM機能を備えているものもあるため、このようなポータル製品では公開Webサイトの構築も可能です。
例えば、各国でWebサイトを統一したいグローバル企業などは、多言語対応やCRMとの連携など、多岐にわたる要件に対応可能なポータル製品でWebサイトを構築する場合があります。
企業での活用事例
世界有数のリクルーティンググループであるヘイズ社は、31カ国において計75の公開ウェブサイトをLiferayで構築しました。
この公開ウェブサイトの構築により、同社はITチームの負担軽減を実現し、スムーズなグローバル展開に成功しました。今では、デジタル戦略の中核を担う基盤として機能しています。
ヘイズ社の公開Webサイト
【ヘイズ社 導入事例】31カ国で75の公開ウェブサイトをLiferayで構築
行政機関での活用事例
行政機関においてもポータルは利用されており、例として、米国連邦政府の補助金申請や検索を行うことのできるGrants.govや、EU関連機関が発行する文章を出版する欧州委員会出版局(Publications Office of the EU)のWebサイトなどが挙げられます。
行政ポータルでは、行政情報を厳重に保管するための堅牢なセキュリティ機能や、アクセス集中によるシステムダウンを防ぐためのオートスケール機能などが必要のため、高い要件を満たす製品が必要となるケースが多いです。
米国連邦政府の公開サイト Grants.gov
【米国連邦政府 導入事例】Modernizing the Federal Grant Application Process(英語)
ポータルプラットフォームとその種類
様々なポータルサイトを構築するにあたり、ポータルをプラットフォームとして利用する企業も増えてきました。ポータルプラットフォームには、以下の形があります。
- Webプラットフォーム
- Webコンテンツマネジメントプラットフォーム
- 統合プラットフォーム
- コラボレーションプラットフォーム
- ソーシャルアプリケーションプラットフォーム
ポータルのプラットフォームとしての活用イメージ
Webプラットフォーム
Webプラットフォームは、Webサイトを構築する上で基盤となるプラットフォームです。Webプラットフォームの使用により、ワンクリックのページ生成やWebベースの編集機能などがウェブパブリッシングを決定的に簡略化するため、IT部署の負担を大きく低減させることが可能です。
例えば、弊社のポータル製品 Liferay DXP では、ウェブサイト作成初心者にもわかりやすいように、あらかじめポートレットやガジェットが用意されており、それをページに貼り付けて文字を入れるだけで、本格的なウェブサイトが完成する仕様になっています。
Webコンテンツマネジメントプラットフォーム
大規模向けポータル製品には、CMS(コンテンツ管理システム)としての機能を持つものもあり、これらの製品では、ワークフローや細かな権限管理などの機能を備えているほか、DAM(デジタルアセット管理)としての役割を果たすものもあります。
統合プラットフォーム
企業内で利用する様々なシステムやツール、アプリをプラットフォーム上に統合させたポータルを、統合プラットフォームといいます。公開Webサイトや社内ポータル、カスタマーポータルなどの様々なポータルサイトを1つのポータル製品で構築している企業では、ポータルプラットフォーム自体を統合プラットフォームと呼んでいる場合もあります。
また、定期的にアクセスする様々なサイトやアプリのデータを基に、ユーザーごとにパーソナライズされたUIを提供することができれば、ユーザー満足度が大きく向上し、生産性の向上も期待できるでしょう(UI統合プラットフォーム)。
コラボレーションプラットフォーム
企業全体やチームごとでコミュニケーションを行う場としての共同Webサイトをコラボレーションプラットフォームといいます。コラボレーションプラットフォームでは、ユーザー個人が独自のコミュニティを作成して参加者を集めたり、個人が既成のコミュニティに参加することで、チーム内で参加者が与えられた権限に基づいてコラボレーションを編成でき、チームコラボレーションを促進することができます。
部署や役職、拠点など様々な属性を超えたメンバーによるチームを構成することも可能です。ポータルの使用により、他部署のメンバーとコミュニケーションをとることで、組織横断のコラボレーションを実現することができます。
ソーシャルアプリケーションプラットフォーム
ポータル製品の中には、SNSなどのコミュニティを通じ、企業内外のユーザー間のコミュニケーションを促すためのWebアプリケーションを構築できるものもあります。
ソーシャルアプリケーションプラットフォーム上では、プラットフォーム提供者またはユーザー自身が作成した様々なアプリやツールを用いることで、ユーザーコミュニティの活性化などの効果を期待できます。
ポータルプラットフォームの2つの強み
Liferayをはじめとするポータルプラットフォームには、通常、デジタルエクスペリエンスを向上させる二つの強みがあります。
1. 一貫性
一つ目は、一貫性です。ポータルプラットフォームでは、バックエンドシステムや顧客データの統合が容易にできるため、様々なタッチポイントでユーザーに一貫性のあるエクスペリエンスを提供することができます。
大手調査会社のForrester社は、デジタルカスタマーエクスペリエンスを推進する上で一番の技術的課題が、バックエンドシステム統合の不十分さであるとしていますが、ポータルプラットフォームではその心配は要りません。ポータルプラットフォームを用いれば、サイロ化した社内のIT環境を統合することにより、膨大な情報を適切に管理し、その価値を最大限に活用することができるため、企業のビジネスの成長を強力に支援することができます。
カスタマーポータルにおいては、ユーザーのデジタルタッチポイントごとのデータ分析を通じ、フロントエンドUIのデザイン共通化を実現することなどが可能となります。
2. パーソナライゼーション
二つ目は、パーソナライゼーションです。ポータルプラットフォームでは、ユーザーごとに関連情報を表示することで、それぞれのユーザーの関心に沿ったエクスペリエンスの提供が可能です。
実際、アパレル小売業のポータルでは、アカウント登録をしていない匿名ユーザーに対しても、過去のウェブサイト訪問情報に基づいて表示商品をパーソナライズ化することで、個人情報を保護したまま有効なマーケティング施策を打てています。
社内ポータルにおいては、従業員ごとにそれぞれの業務に関連したコンテンツのみを表示されるように設定すれば、必要な情報が大量の情報の中に埋もれてしまうこともなくなり、業務効率の向上が期待できます。
他にも、社内ポータルや取引先ポータルでは、同機能の活用により、ユーザー属性に応じて必要な情報のみを表示できるようになるため、いくつものウェブサイトを作成・管理する必要がなくなり、ポータル管理者の負担を軽減できます。
カスタマーポータルにおいてはこれら2つの強みに加え、CMSやマーケティングオートメーション(MA)ツールなどと連携することで、より優れたカスタマーエクスペリエンスを提供することができるため、必要不可欠なポータルとなります。
関連記事:
【ブログ】ポータルプラットフォームを使用すべき3つの理由
ポータルプラットフォーム活用のメリット - カスタマーポータルを活用する企業の視点から
ポータルプラットフォームを利用する企業は多くのメリットを得ていますが、ここではカスタマーポータルを活用する企業の視点から、3つのメリットを紹介します。
購入前のメリット - ①新しいデジタルタッチポイントの迅速な展開
モバイルレスポンシブで、モジュラーアーキテクチャを使用するポータルプラットフォームは、ユーザー認証やバックエンドデータ統合を可能にし、新しいデジタルタッチポイントを生み出します。全てのタッチポイントにおいての顧客データを収集することで、顧客の新しいインサイトが発見され、新規事業展開や新たなビジネスモデルの構築に繋がる可能性が高まります。
購入後のメリット - ②企業側の負担軽減 と③ロイヤリティの育成
ポータルは「購入後ステージ」の顧客への情報提供に優れています。
例えば、お客様サイトなどのカスタマーポータルでは、パーソナライズされたコンテンツやFAQなどのナレッジベースの提供を通じて、顧客がカスタマーサポートに聞かなくても自分で課題を解決できる環境(セルフサービス)を整えることで、顧客にとってスピーディーな対応が可能になるだけでなく、カスタマーサービス担当者の負担軽減を実現できるようになります。
また、ポータル上で顧客情報の一元管理が可能になったことで、パーソナライゼーションが容易になり、顧客ごとにニーズに合ったサービスをカスタマイズして提供できるようになるため、顧客ロイヤリティの育成も支援することができます。データの一元管理により、サービス担当者に変更があった際にもデータを参照することでシームレスな対応を継続できる、というメリットもあります。
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