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ポータル, イベントレポート
サプライヤーポータル活用事例とデモを通じてポータル導入の最適解を解説
2024年11月20日に、「【大手製造業向け】サプライヤーポータルを活用した業務効率の向上~事例とデモで見せる最適解~」というセミナーを開催しました。今回はその講演内容のポイントについてご紹介します。
目次
Liferayのポータルソリューションとは?企業向けにどのようなメリットがあるのかを解説
最初に、Liferayが提供するポータルソリューションの特徴と、その企業向けのメリットについて解説します。
Liferayは、オープンソースをベースにしたポータルソリューションを提供する企業で、グローバルに展開しています。特に日本市場において、企業向けに優れたカスタマイズ機能を備えており、これが大きな強みとなっています。
Liferayの最大の特徴は、企業の業務に柔軟に対応できる点です。具体的には、標準機能として70種類以上の機能を提供しており、業務ニーズに合わせたカスタマイズが可能です。これにより、企業は自社の要件にぴったりと合ったシステムを構築することができます。
また、社内や取引先との情報共有が重要な製造業などの企業にとって、セキュリティ機能は非常に重要です。このため、Liferayは、高度なセキュリティ対策を実施しています。このことから、NASAやUS Navyなどの機密性が求められる組織でも採用されています。
Liferayの製品は、ローコード・ノーコードでのカスタマイズが可能であり、ユーザーインターフェースを業務ユーザー自身が調整できる点も大きなメリットです。これにより、IT部門の負担を軽減しつつ、現場のニーズに即したシステム変更が容易になります。
さらに、Liferayは、システム連携にも強みを持っています。例えば、既存のERPや在庫管理システムなど、他の業務システムとの連携が柔軟に行えるため、システムの統合が必要な場合でも問題なく対応できるのです。これにより、異なるシステム間での情報の一元化が進み、業務効率が大幅に向上します。
Liferayのポータルソリューションは、単なる業務効率化にとどまらず、企業のデジタル化を支援する重要なツールとして、今後も多くの企業に導入されることが期待されます。
サプライヤーポータル導入で業務の非効率を解消する方法
次に、サプライヤーポータルを導入し活用することで、業務の非効率を解消していくための具体的な方法論について解説します。
まず、情報共有に関しての課題として、現在の多くの企業が直面しているのは、非効率的なコミュニケーション手段です。例えば、メールや電話でのやり取りが主流で、リアルタイムでの情報共有が難しく、誤解やミスが発生しやすい状況です。この課題を解決するためには、掲示板やWikiなどのデジタルツールを活用し、サプライヤーとの円滑なコミュニケーションを図ることが重要です。
さらに、コンテンツ管理システムを利用して、サプライヤーに周知すべき情報を一括で管理し、タイムリーに共有することで、情報の漏れや伝達ミスを防ぐことができます。また、バイヤー企業内の承認フローをデジタル化することで、紙ベースの手続きをなくし、人的ミスを減少させることが可能となります。
そして、取引プロセスの複雑化も取り上げます。現状では、注文処理や納品書発行などの業務が手作業で行われており、複数のシステムにまたがることで、処理が複雑になりがちです。このような課題には、既存の発注システムや請求管理システムとサプライヤーポータルを連携させることで、各プロセスのステータスを一目で確認できる仕組みを整えることが有効です。
サプライヤーとの連携についての課題も重要なポイントです。例えば、新規サプライヤーの登録や取引開始までの期間が長く、これが業務の負担となることがあります。この課題には、サプライヤーのオンボーディングプロセスを簡素化し、サプライヤーの出荷状況をリアルタイムで追跡できる仕組みを取り入れることで、迅速に取引を開始できるようになります。
デモを通じて、サプライヤーポータルが叶える取引プロセス円滑化の実際を確認
続いて、Liferayを用いた実際のサプライヤーポータルデモを行いました。実際の取引プロセスをご確認いただくことで、サプライヤーとバイヤー間のスムーズな連携がどのように実現するのかを確認しました。
今回のデモでは、Liferayの標準機能を活用したサプライヤーポータルを通じて、調達依頼や在庫管理の効率的な運用方法を実演しました。このサプライヤーポータルは、架空の企業「ライフレイチェア」がどのようにサプライヤーと連携し、取引を円滑に進めるかを示しています。特に注目していただきたいのは、取引の見える化とサプライヤーとの効果的なオンボーディングの実現方法です。
まず、サプライヤー側とバイヤー側の視点から、どのようにポータルを操作するかを見ていきます。バイヤーがログインすると、ダッシュボードには自社のリソースやタスクが表示され、社内情報とサプライヤー向け情報が適切に区別されます。ここで、サプライヤー側にログインすると、表示される情報はサプライヤー向けに最適化されており、不要な社内情報は表示されません。このように、Liferayのダッシュボードはユーザーごとの役割に応じたパーソナライズが可能です。
次に、調達依頼と在庫ステータスの管理機能に注目します。例えば、バイヤーは、調達依頼を新規に作成する際、必要な部品名やカテゴリーが自動的に入力される仕組みが導入されており、手間を省くことができます。また、在庫ステータスの表示には、リアルタイムで更新されるAPI連携を活用し、在庫数や必要な最小在庫数、入荷日などの詳細情報が一目で把握できるようになっています。これにより、バイヤーは調達依頼を行う前に、現在の在庫状況を迅速に確認できるため、無駄な注文を避けることができます。
調達依頼を作成する際、バイヤーはサプライヤーを選択する画面で、過去の取引履歴や信頼度、納品履歴などを元に適切なサプライヤーを選定することができます。この機能により、サプライヤー選定にかかる時間と手間を削減することができ、取引のスムーズ化が図られます。
サプライヤー側にとっても、ポータルの利用は非常に直感的です。具体的には、サプライヤーがログインすると、ダッシュボードには自分に関連する情報が整理され、重要なお知らせや緊急の連絡事項が目立つ位置に表示されます。サプライヤーは、納品ステータスや調達依頼の詳細を即座に確認できるため、取引の進行状況を把握することが容易です。
加えて、サプライヤーは自分の担当する部品の進捗状況をポータル上で追跡でき、必要に応じて更新や対応を行うことができます。これにより、サプライヤーとバイヤー間のコミュニケーションが円滑になり、取引のタイムラインが正確に維持されます。
このように、Liferayのサプライヤーポータルは、サプライヤーとバイヤー間の情報共有や取引プロセスの見える化を実現し、効率的かつ効果的な調達活動を支援します。
実際の製造業向けプラットフォーム導入事例をフォーカス。業務の自動化と効率化を実現した事例をご紹介
最後に、製造業向けプラットフォームがどのように導入され、業務の自動化と効率化を実現できたのかの事例をご紹介します。
まず、Advanced Energy社の事例をご紹介します。同社はプラズマ薄膜製造や太陽光発電用の電源技術で知られるリーダー企業ですが、サプライヤーとのやり取りにFAXやEメールを利用しており、見積もりや注文確認が分散して時間がかかる課題がありました。この課題を解決し、業務効率化とコスト削減を目指してサプライヤーポータルを導入しました。
サプライヤーポータルの導入により、同社は掲示板機能やドキュメントのアップロード・ダウンロード機能を活用し、サプライヤーとのコミュニケーションを効率化しました。さらに、Liferayの柔軟な権限管理機能を活用することで、サプライヤーのティアに応じた閲覧権限の設定が可能となり、業務効率の向上が実現しました。その結果、年間で150万ドル(約2億3000万円)のコスト削減が達成されました。
次に、ヒューレットパッカード(HP)社の事例をご紹介します。同社は174カ国で25万社以上のパートナー企業を抱えていますが、7つの古いレガシーシステムで構築されたパートナーポータルを運用していました。この非効率なシステムにより、ユーザーは56ページものガイドを参照せざるを得ず、大きな不満を抱えていました。
そこでHP社は、パートナー目線でのシステム再構築を検討し、Liferayを活用して新しいパートナーポータルを構築しました。この新しいポータルでは、ユーザー数が増加し、頻繁に利用するユーザーの案件の勝率も向上したという効果が現れました。これにより、パートナー企業のエクスペリエンスが大きく改善されました。
さらに、Panasonic CONNECT社の事例をご紹介します。同社はBtoBソリューションを提供していますが、導入前は製品ごとに異なるサイトでアカウントを作成・ログインする必要があり、ユーザーエクスペリエンスが悪化していました。これを解決するため、Liferayを活用した統合ポータル「My Panasonic CONNECT」を構築しました。
このポータルでは、ユーザーの属性や行動履歴に基づいてパーソナライズされたマイページが提供され、またマーケティングオートメーションツールとの連携により販売機会創出の強化が図られました。そのうえ、パートナーのユーザーエクスペリエンスが改善され、各サービスの利用率が向上したという成果が得られました。
これらの導入事例からわかるように、製造業においてもLiferayを活用したポータルシステムの導入は、業務の効率化やコスト削減、そしてユーザーエクスペリエンスの向上に大きな効果をもたらしています。これらの内容に関心をお持ちの方は、ぜひお気軽にお問い合わせください。
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